第17章 同族嫌悪
人は生まれながらにして平等じゃない。
それは齢4歳で誰もが知る社会の現実。
だから分かってるつもりだった。
理不尽な社会の中で、自分は勝ち組なんだって。
疑いもしないで生きてきた。
ーーー言っとくけど自尊心ってのは大事なもんだ!!君は間違いなくプロになれる能力を持っている!!
なりたいものになれるって。
自分は選ばれた人間なんだって。
自分が選ばれるんだって。
それだけの力が俺にはある。
それだけの価値が俺にはある。
疑いもしねぇで生きてきて。
このザマだ。
ーーーわかるよ、緑谷少年の急成長だろ?でもさ、レベル1の力とレベル50の力、成長速度が同じハズないだろう?
違う。
アンタはデクの成長だけ、やけに喜んだ。
もっともらしいこと言っといて、ほら見ろ。
やっぱり裏があった。
ーーー次は、君だ。
俺も、デクも。
同じ人に憧れたのに。
どんどん差が開いてく。
なァ、オールマイト。
今更、掘り返す気はねェけど。
やっぱり俺は
アンタに選んでほしかった。
クソナードになんてなりたかねぇけど。
アンタに認められるような、強ェ男になりたかった。
俺がもっと、敵に捕まらないくらい強かったなら。
俺の個性がもっと、敵を寄せ付けねェくらい強かったなら。
アンタはまだ俺の憧れでいてくれた。
でもこんな話、今更だ。