第15章 衝突
(ーーー出来る限り、意識を遠くに)
「スイッチ」が入らないように
はその言葉をお守りのように、心の中で唱え続ける。
爆豪に個性を抑えた肉弾戦での戦いを持ちかけようと、彼が体勢を崩したタイミングを狙って高度を下げ、地面に飛び降りようとしたその瞬間。
「何舐めプしとんだテメェは!!!」
爆豪がすぐさま体勢を直し、彼に背を向けたのすぐ横に飛び寄り、彼女の身体を思いっきり爆破した。
が、ドッという衝突音を立てて、地面に叩きつけられる。
『…ッ…舐めてない』
「なァにが「人に向けては使えない」だァ!?甘ったれてんな、早よ使えや!!」
『…え?』
いつか。
が緑谷にボヤいたその言葉。
『聞いてたの?』
「言っとくがテメェ程度の蹴り技なんかなァ」
痛くも痒くもねぇんだよ!!
爆豪が言葉と共にA・Pショットを放つ直前、が自分の左側に爆風を発生させ、右側へと身体を弾いた。
その重心の変化を見逃さなかったのか、爆豪は一気に爆破で距離を詰め、の目の前に自分の両腕を突き出した。
「吹き飛べ!!!」
『カルラ!!!』
の瞳から火の鳥が飛び出し、二人の間で激しく発光した。
目を開けていられず、舌打ちし、飛び退いた爆豪の方へが駆け出し、彼のみぞおちに蹴りを喰らわせた。
確実に、入った。
が確信した直後。
爆豪は目を瞑ったまま、自身の腹に触れているの右脚を左手で掴み、右手をの方に向け、爆破した。
爆破をモロに受ける直前で、は後ろへ思いっきり倒れ込み、それでもまだ脚を離してくれない爆豪の両脚に自身の左脚を絡め、体重を利用し、彼を投げ飛ばそうとする。
「…っの…ちょこまかすんな!!」
未だ真っ白にしか見えない視界には頼らず、爆豪が、自身の身体に彼女が触れている感覚を手掛かりに、足下を爆破した。
は地雷源となっている彼の身体から自分の身体を離し、一旦距離を取ろうと、近くの地面に飛び退いた。
「そこかよ!!」
『…っ』
彼女の靴と、砂利が擦れるわずかな音を聞き逃さず、爆豪がの身体に攻撃をぶち当てた。