第15章 衝突
≪、アレは燃やしていいのだろうか≫
爆撃をモロに受けて、倒れ伏したの身体から、すぐさま白い豪炎が立ち昇る。
追撃をしようとしていた爆豪は、豪炎の中から彼を覗いている人の瞳に似たカルラの眼にジッと圧力をかけられ、その場で低く身構えた。
『………人を、燃やしてはいけないよ』
はダメージを負って立ち上がれずに、ぽそりと消え入るように呟いた。
≪お前が傷ついている。なら「アレ」は、燃やしても構わない≫
炎で輪郭を形作ったカルラは、に視線をやらず。
炎柱の中からただじっと。
彼女を傷つけた爆豪から、視界を外さない。
徐々に、徐々に。
彼女の身体から溢れるカルラの豪炎が、その勢いを増していく。
白い炎が赤くなり、青くなり、瞬いて。
本来、手のひらに乗るほど小さく形取られていたはずの「火の鳥」は、爆豪への敵意を露わにするかのように、何倍にもその姿を肥大化させていく。
熱風がその場を支配し、爆豪の身体がさらに発汗し始めた。
≪アレを燃やす≫
「やってみろや焼き鳥が!!」
『カルラ』
『人を』
『燃やしてはいけないよ』
いつの間にか立ち上がっていたが、俯いたままそう言った。
前のめりになったまま、ふらふらとよろめいている彼女の頭の位置から、血が何滴か滴った。
カルラはようやくの方を振り向くと、無機質な声を発した。
≪お前はいつも私を否定する≫
≪いつだって私はお前で≫
≪いつまでもお前は私なのに≫
豪炎が、カルラ諸共かき消えた。
それと同時にゆっくりと顔をあげたの左眼からは、白い炎が立ち昇り、瓦礫で目元を切ったのか、血が涙のように溢れ出していた。
『ーーー…うん、ごめんね』
彼女がそう呟き、爆豪の方へ腕を向けた。
その瞬間。
超爆風が爆豪の身体を襲った。
反射的に彼は両腕を前に出し、自身の最大火力で応戦する。
膨大なエネルギーの爆発に耐えきれず、工場地帯を模していた周囲の施設が一瞬で吹き飛んだ。