第4章 輪虎(りんこ)×幼馴染
彼が廉頗将軍へ声をかければ、静まり返っていた宴会場に私達を茶化す声が溢れ出す。
なに、これ…!
あまりの恥ずかしさに再び彼に強くしがみつくと、歩き出した彼がクスクスと笑って、
「そんなしがみつかなくても、落としたりしないよ」
『そ、そういうことじゃ、ない…!』
そう私がしがみついていた腕を緩め、彼を少し睨むと、宴会場を出たあたりで足を止めた彼に再びクスクスと笑われる。
輪虎ってこんなに意地悪だったっけ…?
「笑顔の華が1番だと思っていたけど、恥ずかしがったり可愛く怒る華もいいものだね」
『なっ…!?り、輪虎のばか!
それより下ろしてよ?歩けるよ私』
「ええ?僕がこうしていたいんだ」
そうサラッと恥ずかしいような嬉しいような事を言う彼に胸が高鳴り何も言い返せなくなる。
…ずるい
いつも、私ばかりドキドキして…
輪虎のこの落ち着いた雰囲気が好きなのは確かだけれど、たまには彼の違う面も見てみたいと思ってしまう。
『輪虎、好き…』
「…きっと僕の方がずっと前から好きだよ」