第4章 輪虎(りんこ)×幼馴染
そして、彼に手をひかれて辿り着いたのは、宴会場。
戦が終わった直後の夜は毎晩のように宴が開催される。
当然、輪虎も私も出来る限り毎日出席しているのだが、今日は何故だか彼がずっと私のすぐ横に居てくれている。
人前で、というか、そもそも彼とこんなに近い距離であること自体ほとんど無かったからかどうも落ち着かない。
おかげでずっと密着している身体に心臓は大きな音を立て続けていて…
「華、具合が悪いのかい?」
『…あ、ちょっと考え事、してて』
そう彼に話しかけられても、上手くいつものように答えられない。
いつも通りじゃないのは、輪虎が初夜がどうのとか言うからなのに…!
視線を彼から目の前の料理に移すが、もう既にお腹はいっぱいで食べられそうになくて、
「今日はもう部屋へ戻ろうか」
『えっ…と、きゃっ!』
そう紳士的に言った彼は、私の背中と膝裏を腕で支えて立ち上がる。
よ、横抱きにされて…!?
『り、輪虎!?お、下ろして…!』
そんな私の訴えに、彼はただ微笑んで返すだけで下ろしてくれる気は無いらしい。
途端、集まる視線に、彼の首筋に顔を埋めて抱きつく。
体調が悪いわけではないのに…!
「殿、華の体調が悪いようなので失礼します」