第4章 輪虎(りんこ)×幼馴染
「お願い、してもいいかな」
そう微笑む彼に、黙って頷いて隣に座る。
どうして、2人きりに…?
想い人である輪虎と一緒にいられるのは嬉しいけれど、でも…
最近は、会えても少し言葉を交わすだけで、
私が勝手に彼の鍛錬を覗いていた時も、前は優しく微笑んでくれていたのに、困ったような笑みを向けられることが増えていた。
つまり簡単に言えば、避けられていたような気がしていたのに…
気のせい、だったの?
包帯を手に取り、迷った末に彼の腕を慎重に持ち上げた。
初めて会った時とは比べものにならない程に鍛え上げられたその腕に、高鳴ってしまう自分の鼓動が恥ずかしい。
不謹慎、すぎる…
『腕、きつく、ない?』
「うん。丁度いいよ?ありがとう。
なんだか、久しぶりだね……って、僕のせいかな」
そう困ったように私から目を晒す彼に首を傾げる。
『戦が起きるのは輪虎のせいじゃ…』
「いや、そうでなくて。
僕が華と話すのを避けていたから。…この戦が始まるずっと前から」