第4章 輪虎(りんこ)×幼馴染
「ん?華?ただいま」
『たっ、ただいまって…!』
手当てを受けている彼の横に駆け寄るが、その身体はどこを触れても痛そうで、肩に置こうとした手をゆっくりと下ろして彼の顔を覗きこむ。
胸から腹にかけてざっくりと切れており、腕にも無数の切り傷があったのだ。
「今回は殿のお役に立てた…とは言えなかったけど、まあ、この通り無事だよ」
その優しくゆっくりな口調と悔しそうな苦笑いは、なんだかとても不釣り合いに見えて、私が泣きそうになってしまう。
『…役に立てたに決まってるよ。
生きてて、良かった…』
そう言葉を紡げは、目の奥が熱くなり思わず口元を手で覆う。
輪虎が受けた傷は何度か目にしてきたが、こんなに大きいものは初めてで、彼の命が危ないのではと思ってしまう。
「もう、下がってくれないか。この子と2人にしてくれ」
『えっ!?まだ、手当てが…!』
「あとは包帯を巻くだけだ。華でも出来るだろう?」
その言葉を聞いた従者達が足早に部屋を出ていき、本当に彼と2人きりになってしまう。
私よりも、きっと今出て行った彼等の方が上手に決まっているのに。