第1章 嬴政(えいせい)×新人宮女
なんて、考えて慌てふためいて、
先輩宮女の皆さんに泣きつきながらも湯浴みに連れて行かれ、
失礼な事してしまったらどうしよう…。
大王様には失礼だけど…
政様の事が、忘れられないのに。
そしてついに、大王様の寝室に入らされ頭を下げる。
名を…名乗らないと…
そう分かっているのに、目の前の方が大王様だと思うと、声が…!
「そう、固くなるな」
へ?
聞き覚えのある通る声。
おかしい、いやだって…!
「顔を見せてくれないか。華」
『…っ!政、様?』
間違いなかった。
政様が、大王、様…?
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
会いたかった人なのに、えっと…何が起こってるの…?
「驚かせたな。
先日は無断で剣術の訓練をして、バレないように、宮廷に仕え始めたばかりの、俺の顔を知らない者を、と頼んだんだ」
『う、そ…大王様…』
じゃあ、本当に本当にあの時の…
混乱していると、私の片方の頬を大王様の手が包み込み、肩が少し揺れてしまう。
「あの時のように、政、と呼んでくれないか。
華の声が好きなんだ」