第1章 嬴政(えいせい)×新人宮女
綺麗な顔立ちに、よく通る声。
そしてあの真っ直ぐな瞳…
忘れられない。
あの後、着替えを手伝ったけれど、私なんかよりもかなり慣れた感じだった。私が必要なのかどうか疑わずにはいられないほどに。
政様の腕、ガッシリしてたなぁ…
って何考えてるの!?
私ったら!
はやく掃除終わらせなきゃ…
そう思った矢先、上官がドタドタと走ってきて、
「華!大変だよ!こっちへ来な!」
『へ?』
「だ、大王様が!あんたを!」
それから夜までの事はあまり覚えていない。
宮廷に仕えて、たったの10日ほどの私が…
大王様の夜伽なんて事あるはず無い。
だって、私は…
ここでしばらく仕えて、母と父の元へ帰るつもりだったし…!
こ、こんな事、無い。
どうしよう。
どうしようどうしようどうしよう!
…経験、無いのに!