第3章 蒙恬(もうてん)×湯女(ゆな)
速く大きくなる自分の鼓動。
この距離ではきっと聞こえてしまっているだろう。
覚悟を決めてゆっくりと目を閉じれば、私の唇の上にあった彼の指がゆっくりと顔の輪郭をなぞっているのが分かり、
『……ぁ、んっ』
途端、優しく丁寧に重なる唇。
初めての口付けにどうしていいか分からず、目をゆっくり開けばすぐ目の前の蒙恬…いや、恬の目が微笑む。
全身が火照っていくのを感じながら、再び目を閉じて彼に身を委ねると優しい口付けが何度も落とされ、次第にそれは深くなっていき、
『ん、はぁ……んんっ』
息を吸うために開いた口から、恬の舌がゆっくりと入って来て口内をなぞられ始める。
初めての感覚にビクビクと揺れてしまう身体が恥ずかしくて、顔を背けても、目の前の彼はどこまでも追ってきて口付けをやめない。
私、初めてを、この方と…
「こーら。そんな逃げられるといじめたくなっちゃうよ」
『……蒙恬、様、んっ!』
「いけない子だね、呼び方、違うよ?…お仕置きしないと」
…っ!
覚えていたはずなのに、慣れていた呼び方はそう簡単には変えられなくて。
何をされるのかと口元を手で隠せば、彼はフッと笑って私の耳に舌を這わせ、