第3章 蒙恬(もうてん)×湯女(ゆな)
「さっ、入って〜」
『は、はい…』
湯浴みの後いつも通りに夕餉を別々にとり、指定された部屋で待っていれば、先輩湯女達に見つからないように上手く彼が連れ出してくれて…
辿り着いたのは彼の部屋。
ここが蒙恬様の…
そうまだ明かりの付いていない彼の部屋を見回そうと思えば、
『きゃあっ!も、蒙恬様!?』
部屋の扉を閉めるとほぼ同時に横抱きにされ、布団の上にポスッと下される。
起き上がろうとすれば、それも阻止されて…
顔のすぐ横には彼の肘がつかれ、脚の間には彼の脚が入れられて、完全に組み敷かれてしまう。
言葉も出ずに彼を見上げれば、クスッと笑って私の髪をすくって口付けを落とす。
「じゃあ、予告通り、君をもらっても?」
『…蒙恬さ、ま?』
人差し指を唇の前に立てられて、首を振られる。
「今からは、恬(てん)、って呼んで?
じゃないとお仕置きだから」
『おし、おき…?』
「そう!…じゃあ、目閉じて」