第3章 蒙恬(もうてん)×湯女(ゆな)
彼に抱き寄せられてからどれくらい時間が経ったかは分からないが、段々と彼の鼓動が通常の速さに戻っていくのを感じれば、
蒙恬様は、私から少し離れて額に口付けを落とす。
その柔らかな感触に、心がじんわり熱くなるのを感じて彼を見上げると、
「今夜は一緒に過ごそう?」
『…よ、良いのですか?』
「だいじょーぶ。夕餉の後、君を上手くさらってあげる」
その優しい笑みといつもの軽い口調に安心しながらも、私も彼の頬に口付けを落とす。
『身体、洗いますね』
「うっわぁ…今のは反則だよ……」
そう顔を赤らめたのは、いつも私をからかって笑っている蒙恬様。
いつも私にする癖に
そんな言葉はなんとなく心にしまって、彼の身体を洗い流していく。
本当、士族に見えない
って思ったのも内緒にしておく事にして彼を見上げれば、
「今夜、覚悟しておいてね?」
『…っ!?』
「君の全部、貰うから」
そう耳元で囁かれ、ビクッと身体が揺れてしまう。
うぅ…やっぱり、さっき思った事を言ってしまえば良かった。