第3章 蒙恬(もうてん)×湯女(ゆな)
だって、最初の日に蒙恬様が言ってくれたことって…
"君、僕の妻になる気はない?"
しっかり思い出してみたけど、やっぱりあり得ない。
「君と少しの間も離れたくないんだ。
……本当は連れて行きたいけど、君を危険に晒すのはもっと嫌だ」
『えっ…と、あの、蒙恬、様?』
そう私が彼の名前を読んだところで、ようやく少し距離が出来て彼を見上げる。
身体中が熱くて沸騰しそうだ。
あり得ないと分かってるのに、
「華、好きだ。君が欲しい」
『……っ!』
どうして、目の前のこの方はこんなに私を幸せで満たしてくれるのだろうか。
「いい、かな?」
そう、少し照れながら言う彼が堪らなく愛しい。
彼は主人で、私はただの湯女なのに…
『私なんかで、いいんですか?』
「それは、受け入れてくれてるって事でいいのかな」
その言葉を聞いた瞬間、私の首は自然と縦に揺れていて…
彼の綺麗な目に吸い込まれたような気がした。
ふんわりと再び抱き寄せられれば、もう彼に吸い込まれてしまいたいと思ってしまっていて、