第3章 蒙恬(もうてん)×湯女(ゆな)
身体に張り付く自分の湯浴み着はあまり見ないようにして、なんとか恥ずかしさを誤魔化す。
蒙恬様の身体、引き締まって素敵…
って私、何考えて!
そんな不毛な考えを振り払い彼の肩に手を添えながらゆっくりと洗い始めれば、彼の手が私の頭をそっと撫でて、
「華ちゃん?
…君、僕の妻になる気はなーい?」
そうなんでもないようにポツリと囁かれる。
つま、って……
『なっ!何をおっしゃいますか!?』
「ははっ、君はからかい甲斐があるなぁ。
あとは自分で洗うよ。今日はお疲れ様〜!」
なっ…!?
膝裏に腕が差し込まれ、そのまま一度抱き上げられて立たされるとポンッと背中を押される。
からかわれた上に、抱き上げられるなんて…!
いや、考えたらそうだ。
私の様な湯女を妻にするなどきっと、士族内でも前代未聞なこと。
一瞬でも心が高鳴った自分が馬鹿みたいだ。
それにしても…
下半身は洗わせてもらえなかったけど、私への配慮なのかそれとも私が嫌なのか……
うぅ…明日から呼ばれなかったらクビって事だよね…
気が、重いなぁ。