第1章 嬴政(えいせい)×新人宮女
政様の希望…いや、きっと慌てていた私を気遣って、彼は1人で浴室に入っていき、終わるのをただ待っているというこの状況。
きっと上官にバレたら怒られる…!
だって、わざわざ宮女を呼ぶって事は、きっと偉い方なわけで…。
あれ…ならどうしてあんなにも汚れて…?
浴室へ向かう途中、政様が一言だけ、
「自分と会った事はどうか他言しないで欲しい」
と。
正直、あのような事を言われずとも、彼の事が頭から離れなかっただろうに…
ま、ますます気になるよ〜!!
「待たせてすまない」
『ひゃっ!あっ!!
…と、とんでもございません!』
いきなり空いた扉と響き渡るよく通る声に、身体がビクッと揺れおまけに変な声まで出てしまった。
は、恥ずかしすぎる…
もう穴があったら入りたい…!
見上げれば、彼はフッと微笑んで
「華、と言ったか?
宮廷に来て、何日目になる」
『5日目にございます』
「そうか」
そう言って政様は、また微笑まれると浴衣のまま歩き出す。
綺麗…って、えぇ!?
スタスタと歩き始める彼を追いかけながら
なんで日にち、聞かれたんだろう?
そう思っていたんだ。