第3章 蒙恬(もうてん)×湯女(ゆな)
「あっ!君か〜!今日から僕と湯浴みを共にしてくれるのは!
顔、あげて?」
…!
そう顎をクイッと持ち上げられ、見上げれば、
端正な顔立ちの青年と、近距離でバチッと目が合って顔が熱くなっていくのを感じる。
「僕の名前は蒙恬(もうてん)。君は?」
『はっ、はい。華と申します』
「よろしくね♪」
そうウィンクされて、彼は湯浴み着を脱ぎ始める姿に拍子抜けしてしまう。
お爺様もお父様も将軍で、彼もまた戦に出る方だと聞いていたから、もっと強面な感じを想像していたのだ。
し、しっかりしなきゃ!
そう再び彼の方を向けば、既に一矢纏わぬ姿になっており、
ビクッと身体を震わせる。
男の人の裸なんて…初めて見たよ……。
再びタオルをぎゅっと握りしめて、椅子に座った彼の近くに跪く。
『し、失礼します』
「はーい!無理、しなくていいからね」
『…へ?』
「だって華ちゃん、初めてでしょ?」