第2章 信(しん)×村娘
「なっ!おまっ…媚薬!?」
ズサっという音に熱い顔を持ち上げれば、信様は壁際まで私から距離をとり、ギョッとした目で私を見つめていた。
その反応に分かってはいたが、胸が痛くなる。
身体は辛いし、恥ずかしいし、
最悪、という言葉しか思いつかない。
『ごめん、なさい…』
そう言いながらもなんとか立ち上がれば、
お腹の奥がキュッとしまるような感覚に頬に涙ががつたう。
なんで、こんな目に…
ぎゅっと目をつぶって扉に手をかければ、
「こ、こんな状態で帰らせるわけねぇだろ!
…おまえ、名前は?」
『へっ?……華、です』
「華…、その、驚いて、悪かった!」
そう後ろからふわっと彼のぬくもりに包まれる。
すでに熱すぎるほどにほってたはずの身体が、芯から温まるような心地がする。
あぁ、そうか…
助けてくれたあの瞬間から、私はこの人のことが…
『信、様……、助けて…』
口が勝手に動いて、喉から声が出る。
こんな事、言いたくなかったのに…