第2章 信(しん)×村娘
飛信隊の信
彼がそう名乗っただけで、士族の男は小走りで逃げていく。
明らかに、彼は士族には見えないけれど…
そう、立ち上がろうと身体を動かした時、
『んっ…』
「あ?お前、大丈夫かよ」
何、これ…!
身体中が熱い。
地面と擦れている脚からビリビリと刺激が走る。
初めての感覚が怖くて恥ずかしくて…
そう俯いて震えていると、
「なんだか知らねーが、俺の家で休んでけ!近いから!」
私の背中と膝裏を彼の腕が支え、私はいとも簡単に持ち上げられてしまっていて、
ビクッと揺れる身体のせいで落ちそうになり、思わず彼の首に腕を回す。
彼の触れているところが、熱い…!
「なんだよおまえ!熱あるじゃねーか!貂(てん)の薬、確か残ってた!急ぐぞ!」
『ひゃっ!……ぁ、ありがとう、ござい……んぁ…』
「いいってことよ」
そう彼は、私を抱えて走り出す。
な、なに、今の声…!
幸いにも彼には聞こえなかったようだけど、身体中を走る刺激に我慢が出来そうにない。
やだ、私…
もっと触れて欲しい
そう思っているなんて…!