第2章 信(しん)×村娘
絶望感に包まれ、その場にペタンと座り込む。
しかし、覚悟を決めてぎゅっと目を瞑ったその時、
「あぁ!?お前何してんだよ!」
威勢の良い少年が、私の前に現れたんだ。
しかし、ほっとする間もなく、
彼が、士族を睨みつけている事に気付き顔が青ざめていくのがわかった。
「女をいじめて恥ずかしくねーのかよ!ほら、お前、立てるか?」
差し出された少し日焼けした手。
掴もうにもほぼ全身が痺れて動かない。
せっかく、助けて下さったのに……っ!
そして、刹那
彼越しに見えたのは、あの士族が剣を手に取っているところだった。
『あぶなっ…!』
カキンッ
「あぁ!?」
「なにっ!?おまえ…」
私が振り絞って出した声は果たして意味があったのか分からないが、
どう見ても士族には見えない彼が、振り向かないまま、背中の刀を引き抜き攻撃を止めていたのだ。
どういう…こと?
その勇ましい姿に、どうしようもなく胸の奥がしめつけられる。
「士族が弱い者いじめてんじゃねぇ!なんだ?それとも勝負するか?
俺は飛信隊1000人の頂点に立つ信だぞ」
「ひ、飛信隊の信!?なっ…くそっ!」