第2章 信(しん)×村娘
えっと…
妹の新しい草履は買ったし、お母さんに頼まれた物はこれで全部かな?
ちょっとしたおつかいで、町まで出て来たけど…
町の子はみんな綺麗だなぁ。
そう華が周りを見回せば、
ゴツッ
頭に固い感触。
『いったぁ…あっ、申し訳あり……っ!』
ぶつかってしまったであろう人に謝罪を述べようとし、途中である事に気付き下を向く。
…士族!?
重たそうな甲冑に腰には剣。
まずい…っ!
「いってぇな!おい!何ぼーっとしてんだよ!」
『たっ、大変、申し訳ございません!』
「あぁ?…よく見たら綺麗な顔してんじゃねぇか。ちょっと来い!」
『ひっ…』
無理矢理腕を掴まれ、抵抗しながらも何度も謝罪を繰り返す。
怖い、怖い……誰かっ!
「しぶてーな!これでも飲んでろ!」
そう怒った士族に口元に小瓶のようなものを突っ込まれ、中の液体を半分ほどは飲み干してしまう。
途端、全身がわなわなと震えて痺れ出す。
麻痺毒…?!
こんな事になるなら、無駄な抵抗なんてしなければ…!
そもそも、おつかいが終わった時点でさっさと帰れば良かったのに。