第10章 レモンティー同盟【黒尾鉄朗】
「……それは知ってるよ」
「アララ。猫被ってたの、バレてた?」
「私だって……ずっと黒尾くんの事、見てたんだから」
恥ずかしさから目を逸らす名前。
「もっかい、キスしても良い?」
「っん」
名前からの返事を聴く前に唇を奪った。
「……ふっ、あ」
今度のは深く濃厚に。
ねっとりと舌を絡ませてやった。
壁ドンをしたまま、角度を変えてキスを愉しむ。
「ん、んっ」
「はぁ……」
壁と俺に挟まれて逃げられない名前は、一生懸命に唇を重ね合わせたり角度を変えてくる。
そのいじらしさに、歯止めが利かなくなりそうだった。
名前とのキスは、レモンティーの味がした。
「……名前、俺と……付き合おうぜ?」
息継ぎの合間に伝える。
「……う、うん……ぁ……」
「……は」
息継ぎの後も再び唇を重ねて、また息継ぎして。
それを何度も何度も繰り返した。
「んっ……こんな、の……私、知らないっ」
「たっぷり教えてやんよ。コレより進んだコトも……」
ーーー
『いいなぁバレー部。チームの繋がり、かぁ……』
『苗字は繋がり、ねぇの?』
『そんなに強いものは無いよ……家族は別だけど』
ーーー
中学のバレー部のゴタゴタが終わった後、名前が言っていた「繋がり」。
「『繋がり』出来たじゃねぇか」
「……えっ?」
「俺と名前の、『恋人』って繋がりが」