第10章 レモンティー同盟【黒尾鉄朗】
「……うん!」
心から晴れやかな笑顔を見せる名前に、もう1度キスした。
「もういっこ」
「?」
「俺と名前は、レモンティー同盟」
1度も飲んだ事が無かったレモンティー。
レモンは初恋の味とか、ファーストキスの味とか比喩されるけど……
それは本当だったようだ。
レモンティーが好きな名前との恋は、初めての恋みたく……
名前とのキスは、初めてのキスみてぇなんだ。
「俺も好きんなった。レモンティー」
「本当?嬉しい」
「でもお前はブラックコーヒー飲めるようになれなくて良いかんな?」
「?」
「苦げぇ恋にはしたくねぇから」
タイミングが良いんだか、悪いんだか。
ここで5限目が始まる前の予鈴が鳴った。
「また可愛いピンクの下着姿、見せてちょうだいネ?」
「……っ!?黒尾くんの変態っ!!」
「ぐほっ!!」
尻を撫でながら言うと、顔を真っ赤にした名前から俺の頬に鉄拳が飛んできた。
「ご、ごめんなさい!大丈夫!?」
「名前のそういうカタイ所も……好きだぜ?」
俺たちは恋人繋ぎをして教室へと向かった。
仲睦まじげに繋いだ手と俺の頬の赤みについて、クラスメイトたちから凄まじい質問攻めに合ったのは言うまでもねぇ。
END