第7章 繋がる心【澤村大地】
「……ふ、ハハハハッ!!」
笑い飛ばす澤村に、急に我に返る。
「苗字、お前。熱っちぃな!見直したよ!!」
澤村の大きな手が、私の頭をくしゃっと雑に撫でる。
「だ、だって澤村にバレー続けて欲しくて……私、考えてて……っ!」
「ありがとう、名前」
初めて下の名前で呼ばれてドキッとする。
「俺も今さ、『やっぱ悔しいからバレー部辞めるの止める』って言おうとしたんだよね」
「え?そう……なの?」
「うん、ホント」
「……うわぁ!良かったあぁ!!」
「そんなに心配してくれてたのか!?どうもご心配おかけしましたっ!」
3日ぶりに2人でちゃんと目を合わせて、心から笑いあった。
「ありがとな、名前」
「うん……っ」
澤村の優しい声が耳に入って来て安心する。
澤村は一度、咳払いをして続けた。
「……名前に嘘は言えねぇな」
「本当はバレー辞めたく無かった、って事?」
「まぁそれもあるけどさ……」
「?」
「本当はさ、辞める理由、就活とかじゃなくて……」
「うん」
「……名前が側にいると、全然練習に身が入らなくてさ……。
でもバレーしないのは辛いから……部は辞めて、他のチームにでも入ろうと思ってた……」
「それって……」
「俺、名前が好きだよ」