第7章 繋がる心【澤村大地】
「私も澤村が好き!!」
負けじと、私も想いを伝える。
クロから貰った言葉に、私はまた背中を押された。
澤村は驚いた様子だったが、顔を赤らめてからいつもの優しい笑みを見せた。
目を合わせた後、近付いてきた澤村に顎をくいっと上げられて、唇に柔らかいキスをされた。
「え!?き、キス!?」
「名前が可愛すぎなんだよ……」
澤村の力強い腕に包まれる。
「いい加減『澤村』は止めろよ?」
「……えへへ。大地……なんか照れる」
人に見られるかもしれない、という事はお互いとうに忘れていた。
「見てますヨ~」
「「!?」」
身長はでかいくせにヒョコっと出てきたクロに反応して、私と大地は身体を離す。
瞳孔を開いたまま笑みを浮かべているクロは、何とも形容し難い表情だった。
「お前ら、公共の場で青春しすぎ」
「う……」
「あーあ!結局、名前はサームラのモノになっちまったかぁ。皆狙ってたんだけどな」
「……だな。悪りぃ黒尾」
「あぁ!?んだ、その顔。腹立つ」
「ハハハ、俺は元々こういう顔ですよクローさん?」
「でも、ま。名前、良かったな。ちゃんと伝わったみてぇで」
「うん、クロのお陰!ありがとう!」
「言ったろ?ぜってぇ上手くいくって」
クロは私の頭にポン、と手を置いてくれた。
「それからサームラ」
「ん?」
「サーブ、最高だったぜ?」
クロと大地が1度目を合わせてから、白い歯を見せて笑う。
私まで笑顔を貰った。
大好きな、大地とクロ。
「これからも、3人で仲良くしようね!クロ!」
「……おう」
「これからも、一緒にバレーやろうね!大地!」
「おう!」
大地は大きな手で、今度は優しく頭を撫でてくれた。
「名前も彼女として、これからもよろしくな?」
「おうっ!」
バレーが繋いでくれた私たちの関係。
私は大地とクロの手を取りぎゅっと握ったまま、他の部員たちの元へと急いだ。
END