第1章 キスから始まるストーリー【澤村大地】
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「……っふぁ」
「ん、ふ……はぁ」
2人の唇が名残惜しそうに離れる。
銀色の糸がお互いの唇を繋いで、赤くなりトロンとした苗字の表情がなんとも卑猥だった。
今週に入って3回目の秘密の時間。
初めて唇を重ねた日から半年程経っているにも関わらず、苗字のエロさとテクニックに未だに慣れず、キスだけで終わる時間に悶々としていた。
俺はこの現状にいい加減痺れを切らし、思いきって苗字の核心に触れた。
「……なぁ、苗字」
「なぁに?」
「……俺たちって、どういう関係なんだろな?」
いつもは触れられない話題に、苗字はどう答えるべきか考えていた。
「んー、キス友達……とか?」
苗字は優等生で態度は良い奴だから、この軽々しい物言いに俺は困惑した。
「真面目にさ、俺のこと好きなの?」
「えっ?」