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【ハイキュー!!】短編集~Mint tea~

第7章 繋がる心【澤村大地】




「……いつも俺の勝手な練習に付き合ってくれて、ありがとな苗字」


大きな武器をものにしたというのに、澤村は急に浮かない表情を見せた。

握った手をするっと離される。


「……ど、どういたしまして」
「おう」
短い言葉を交わすと、澤村は私に背を向けた。



急にどうしたの?
そう聞こうとしていると、澤村の方から先に口を開いた。

その声は震えていた。



「……この大会が終わったらさ。俺、バレー部辞めようと思ってる」

「えっ」


澤村は私に背を向けたままだった。
彼の大きな背中が萎縮して見えた。



「来年は3年になって就活が始まるだろ?卒論の準備とかもあるしさ……」


先輩も言ってただろ?と、私の方を振り向きながら言った。

澤村は作り笑いだった。
私にはすぐにそれが分かった。



本当はもっともっとバレーやりたいって、精一杯もがいて苦しんでいる顔だった。



「……そっか。寂しいけど……これから忙しくなるしね……仕方無いか」


私は、最大限に演技した。

もっとバレー続けてよ、なんて言える立場でも空気でもない。


そういう理由は正論で、何も返せない。
澤村の決断は、私には止められない。



「……ごめん私、今日はあがるね。お疲れ」

「おう。お疲れ」


帰り際に澤村の方をチラッと見ると、俯いて下唇を噛んでいた。


私は心臓がぎゅっと締め付けられた。


(心臓、痛い……)



澤村のあんな顔見たくないよ。

でも私は、澤村の為に何か出来るの?


まだ……


澤村がバレーするとこ見てたいよ。
澤村と一緒にバレーやってたいよ。
澤村と一緒に居たいよ。





澤村の事、好きだ。

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