第7章 繋がる心【澤村大地】
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毎年12月初頭に、全国の大学のバレー部にとって大きな大会が開催される。
うちの大学のバレー部は緩く活動しているから、大会が3日後に迫るこの日も部員はまばらだった。
「もう皆、帰っちゃったね」
「そうだな」
澤村以外の部員は次々に練習をあがった。
澤村は夜8時を回っても1人だけで練習を続けていた。
大学からし始めたというジャンプサーブの威力を上げたいと言って、ずっとサーブを打っていた。
いつもはスパイクを打った音、ボールが床に落ちる音、ネットを挟んだ隣にいるバスケ部の声なんかが響いていて賑やかな体育館。
今は、この広さに澤村と私の2人きり。
澤村の声が、いつもより透き通って聞こえた。
「苗字さ、良かったらサーブレシーブしてくんね?」
「絶対取れなくて良ければ」
高いサーブトスの後、強烈なサーブが来る。
「わっ!!」
(触れるハズが無い……!)
私が拾える訳も無く、ボールは体育館の床に強く叩きつけられた。
「どう?」
「す、すごいよっ!!全然触れないし、コースもすごく良かった!!私がレシーブじゃあ相手にならないけど……!」
クロ同様、うちの大学のビッグサーバーになれると確信した。
私は心からの拍手を澤村に送った。
「いや、やっぱしバレー経験者の苗字に言われると自信になるよ。サンキューな」
澤村は心から嬉しそうにニカッと笑った。
「いっぱい練習して、頑張ったね!澤村っ!!」
私は自分の事の様に嬉しくて、思わず澤村の両手を握った。