第7章 繋がる心【澤村大地】
「えと……コンビニ」
「俺もコーラ買いてぇ。一緒に行くべ?」
(コーラなんて、海の家とか自販機とか。もっと近くにあるでしょうに……)
でも何故か嬉しそうに歩く澤村を振り切れなくて、結局一緒にコンビニへと向かった。
「……私さ、トイレとか行くし。澤村は先に買って戻ってていいよ」
「そんぐらい待ってるよ」
澤村の悪気も裏表も無い態度に、私は折れた。
「……女の子の買い物なんだけど?」
澤村は数秒考えていたが、なんとなく意味が分かったのか、顔を赤くして私から目を逸らした。
(……なにこれ。可愛い)
「ま、まぁ……俺、外で待ってるからさ」
澤村は珍しく動揺していた。
結局コンビニの外で待っててもらい、その後は変な雰囲気になる事も無く一緒にビーチへと戻った。
戻る途中で「似合ってるよ、水着」と改めて言ってくれた、はにかんだ笑顔が忘れられない。
(今まで普通に遊んできたから忘れてたけど、澤村も普通の男の子なんだな……)
この時はまだ恋愛感情とは違うものだったけど、私が初めて澤村を意識した瞬間だった。