第7章 繋がる心【澤村大地】
これは去年、1年生の夏に伊豆で行った合宿の時の事だ。
その日は練習試合や練習メニューをこなした後、海へ遊びにいく予定となっていた。
身近な人たちとは言え、男子大学生総勢20人の水着姿はかなりの破壊力があった。
たった1人の女子マネである私は、鍛え上げられた男たちの身体を目の当たりにして、目のやり場に困っていた。
気合いを入れて用意していた黒のビキニだって、紅一点故に皆からの視線が痛くて、結局パラソルの下で大人しくしていた。
「苗字、水着似合ってんじゃん」
「ほら、ビーチバレーでもしようぜ?」
澤村とクロに声を掛けられても、恥ずかしくて「日焼けしちゃうもん」と言い訳した。
すると、急に下腹部に鈍痛が走る。
(……うそ。生理?)
全く予期していなかった生理が来てしまい、生理用品も準備が無い。
頼れる女子も、誰もいない。
私は急いでビキニの上からシャツとショートパンツを重ね、ビーチを出た。
コンビニでも探して買おうと思い、海岸沿いをとぼとぼ歩き始めた。
ビーチサンダルで歩くペタペタという音に夏を感じていると、後ろから同じ足音が近付いて来た。
「苗字ー!どこ行くんだ?」
タイミング悪く、澤村が私の後を追ってきたのだ。