第6章 17歳の君が好き。【澤村大地】
夏服期間になって学ランを脱いでいる澤村の、襟元の開きからよく見える喉仏も好きだ。
喋ると上下に動いて、やっぱり男の子なんだなと改めて意識する。
こんなに意図も簡単に乙女心をくすぐられてしまう私は……
生粋の澤村バカ。
「受験は確かに心配」
「苗字、心配してくれんの?」
「心配だけど。澤村なら大丈夫、と思ってはいる」
「マジか。ありがと」
「……複雑だけどさ」
私はさっき、スガちゃんに言われた事を思い出す。
ここでバレー辞めたら俺達じゃ無いよ、ってやつ。
「でも澤村は……バレー続けるって決めたんだよね。
さっき、まだ皆とバレーしたいって言ってたもんね……」
「ああ……」
私のこの取るに足らない不安は、澤村にとって要らないお節介かもしれないけど。
一生を決める大学受験を控えているのだから、ゼロにはならない。
でも澤村が、あんな顔で“まだバレーしてえ”って言ってるのを聞いて。
本当に本当に、バレーが好きな事が伝わってきて。
そういう澤村が、私は好きだから。
「だったら私も、全力で澤村を応援するよ。澤村がやるって決めた事だから……。
今回の試合、応援行けなかったからさ!澤村がまたバレーやってるところ、観れるなぁ!」
心配はしてるけど、好きな人が決めた事を尊重したい。
今はまだ隣に居られないなら、遠くからでも良いから。
大好きなバレーをやってる澤村を見ていたい。