第6章 17歳の君が好き。【澤村大地】
澤村が部活を続けると知り、彼に片想いをしている私は複雑な心境だった。
バレーをやってる澤村がまた見られるのは嬉しい。
でも、大学に行かない澤村は……想像できない。
受験勉強、これからどうするつもりなんだろう?
部活引退が遅れれば、少なからず影響は出る。
それとも、大学には行かないつもりなのか。
親や先生と同じ発想……お節介だろうか。
少しすると、東峰くんがベランダづたいに自分の教室へと戻って行った。
その後スガちゃんと澤村の二人で何分間か話して、スガちゃんだけこの教室に入ってきた。
澤村は一人ベランダに残り、外の景色を眺めている。
「スガちゃん」
「なに?苗字」
「バレー部はまだ、引退しないんだ?」
「そっ!三人ともな!清水はまだ分かんねぇけど」
「……スガちゃんも澤村も成績良いけどさ、受験勉強……大丈夫?」
「アハハッ!だよな?心配だよな、フツー!」
スガちゃんは重い話題にも関わらず、ニカッと気持ち良く笑って言った。
「でもさ。忙しいと逆に、効率的に頭に入っていくって聞いた事ねぇ?」
伊達に良い成績をキープしてはいない。
こんなに自信満々に言われると、この人達なら大丈夫って思えてしまう。
スガちゃんと澤村はいつもそうやって、周りの期待に応えてるから。
でも、部活も勉強も期待に応えようとしすぎて、何処かで無理をしているのではないか。
どっちも妥協しない二人が、私は心配だ。