第4章 先生だって恋します。【澤村大地】
「分かってるよ……名前先生ならそう言うと思った。そういう所も好き」
澤村くんは大人だ。
大学を卒業したての私なんかより遥かに。
「だから……
名前先生、俺が大学生になるまで……待っててよ」
ニカッと笑ってみせた澤村くんに、心臓がまたきゅっと締め付けられた。
「……俺……もしかしたら名前先生も俺の事好きなのかも、って思ってた……」
「え?」
「今だって泣いてくれてる。名前先生の本当の気持ち、聞かせてよ」
ふわりと優しく、澤村くんに抱き締められた。
長袖のシャツを腕捲りした、逞しい腕に包まれた。
「わ、私は……」
「うん」
澤村くんに聴こえてしまいそうな大きい鼓動。
左胸が壊れてしまいそうだった。
「……私も、澤村くんが好きだよ」
澤村くんは、ありがとう、と小さく囁いて鼻の頭に軽く優しいキスをした。
「っ!?」
「名前先生、やべぇ。すげぇ可愛い。もっとしたい」
「きょ、今日はここまで!」
「今日は、ね」
「あ、揚げ足とらないっ!」
ハハッといつもの様に笑って、澤村くんは私を抱き締めていた手を離した。
「先生俺さ、仙台の大学受ける。大学入ったら、絶対にまた会いに来るよ」
「……うん……待ってる」
「……その笑顔、反則だろ……ダメだ、もう一回キスしてぇ」
「っ!?今日はもうダメだってば!!」
「名前先生、顔赤すぎ」
「うぅ……」
「春高、絶対に優勝してみせるから。見ててください」