第4章 先生だって恋します。【澤村大地】
「授業で答えた時に誰にでも『ありがとう』って言ってくれる所も。
女子の為に烏養さんに相談したりして頑張ってる所も……。
守りたくなる小さい背中も、でも強さもある所も……。
板書する綺麗な細い指も。
何事にも全力で、いつも頑張ってる名前先生が……全部好きだよ、俺」
澤村くんはいつものしっかりとした敬語では無く、高校生らしい年相応の喋り言葉で打ち明けた。
そして、苦しんでいた事を吐き出す様な切ない顔をしていた。
澤村くんの、心からの言葉。
飾らない、彼らしい真っ直ぐな告白だった。
「さ、澤村くん……」
私は答えに迷った。
気持ちはとても嬉しい。
私にとっても澤村くんは特別な生徒になっていた。
そんな彼の気持ちに応えてあげたかった、寄り添いたかった。
私はこの時、自分自身の澤村くんに抱く恋愛感情に気が付いていた。
しかし、私は教師という立場。
小さい頃からの夢である、教師になったのだ。
生徒と関係を持つ訳にはいかない。
「……ありがとう。とっても嬉しい。
……でも、教師と生徒は……恋人同士にはなれないよ」
自然と目から熱いものが流れ出た。