第4章 先生だって恋します。【澤村大地】
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教師になってから半年が経つ頃には、授業の進行の仕方や生徒への接し方は大分慣れてきていた。
受け持ちの女子バレー部へのフォローは相変わらずまだ模索中だったが、すぐに春高予選が始まるのだ。
そこで、インターハイ予選での健闘を踏まえて、男子の指導をしている烏養コーチに話を伺おうと、私は男子バレー部の練習を見学に来ていた。
「影山、ナイッサー!!」
その日はゲームが行われていて、私が授業で受け持つ生徒たちが部活に真剣に取り組む姿が見られた。
「影山くん……部活ではあんなに活き活きしてるのね……」
とりわけて私の目に留まったのは、いつも積極的に手伝ってくれる澤村くんだった。
「大地さん、ナイスレシーブ!!」
(澤村くん、また拾った!)
いつも自ら進んで、雑用を手伝ってくれる澤村くん。
いつしか、他の生徒よりも近くて安心できる存在となっていた。
そんな折、白鳥沢戦を女子バレー部全員で応援に行った。
皆がすごい、皆がかっこいい。
私もあんな風にがむしゃらになってみたかった、今からでもなってみたい、と思わせられた。
1人1人のプレーに魅せられた。
特定の生徒を贔屓したくは無かったが、私は確かに、澤村くんのボールを追いかける姿に最も心が動いてしまった。
意識せずとも、彼の姿がしっかりと脳裏に刻まれていた。
白鳥沢という強敵を下し、喜びを噛みしめて号泣し抱き合う3年生に、涙を止められなかった。