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【ハイキュー!!】Mint tea

第17章 ラブシック・ハイ(後編)【宮治】




***


部の用事で一緒に出掛けてから、治くんが休み時間にうちのクラスに来る頻度が増えた。



「なぁなぁ名前ちゃん。今度どっか遊び行かへん?」



そないに嬉しい事言うて……

勘違いさせへんで。



「ごめんね。土日も部活あんねん」

「なら、部活終わった後は?俺らかて部活やし」



それに……

信介くんとは別れてまだ2ヶ月位。
やっぱりまだ、気が咎めてまうよ。



「……色々、忙しくてね。ほんまにごめん」



あんまり見つめんといて。

心の中が、読まれてしまいそうやから……。




「アハハ、サムがフラれたぁ~。おもろ~」

「あぁ?何やそのアホ面。セクハラツムは、俺が名前ちゃんと話すと焦ってまうんですかぁ~?」


うちのクラスに来ては始まる宮兄弟の口論も、すっかりおなじみになった。

侑くんと言い争ってるうちに、昼休みの教室を抜け出してトイレに逃げる。



「……もぉっ……なんなんよ……」



鏡の前に立てば赤くなった自分の顔が嫌でも目に入り、それを造り出している心臓の速い鼓動を恨んだ。

胸をきゅっと押さえてから前髪を直して、持って行きようのない感情を何処かに仕舞い込む。



鏡に映った自分の赤い頬っぺたを見て、治くんの唇の暖かさを思い出す。

そこを指でそっとなぞると、一瞬彼の唇の温もりが甦った様な気がして恥ずかしくなったから、指をすぐに離した。




『夏ちゃん、考えすぎや。人の心はもっと、単純やで?

好きなら、好きだけでええんや。

好きやから無理にキスやエッチせなあかんって……そんな捉われすぎんで、ええんやで?』



治くんが言うてくれた言葉を思い出す。

私かて、そう思いたい。



けど、あの日の信介くんとの事が脳裏に焼き付いとる。
私だって機会があれば、いつかはそういう体験……する訳やし。




「行動で示したい」言うたのは、私やろ……?



すぐ好きになったらあかん。


心の準備が、しっかり整うまで。


それまで、私は恋をしたらあかん。




今度は好きな人とちゃんと向き合える様に。

もう傷付けたりしない様に。



恋は、それからや。

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