• テキストサイズ

【ハイキュー!!】短編集~Mint tea~

第16章 ラブシック・ハイ(前編)【宮治】




よう晴れて過ごしやすい11月。

身体が少し、熱い。

名前ちゃんの後ろ姿は華奢で、ブレザーの上から掴んだ腕は細くて折れてしまいそうな程やった。



身体の向きを変えて、俺と正面で向き合うた名前ちゃんが言う。


「治くん、もうすぐ春高やない……」


話しとる途中の彼女の唇に、人差し指を立ててくっ付ける。
少し赤くなった顔がまた可愛くて、俺は顔が勝手に綻びそうなのを我慢した。



「何でやろ……今は名前ちゃんと……一緒におりたいねん」



心臓がキュッと掴まれたみたいになって、胸の中心が熱くなる。

名前ちゃんが何言うても、俺の腹は決まっとった。


「絶対、邪魔せーへんから」


名前ちゃんは最初こそ困った顔をしとったが、いつになく押してくる俺に根負けした様で、目的地に向かって歩き始めた。



「今日、ちょっぴり暑いね」

「せやな。あ、買い物の荷物持つで?」

「ふふっ……ありがとう、治くん」


名前ちゃんは段々と笑顔を見せるようになってきて、嫌ではないって事は判った。
初めて名前ちゃんの隣を歩けば、2人の身長差でやっぱ女の子やな、って意識する。



「制服デートみたいやない?」

「治くんと私なんて……全っ然、釣り合わへんね」

「そんな事ないやろ。名前ちゃんめっちゃ可愛いで?ツム……侑も、よう言うとる」


名前ちゃんは、顔を赤くして俯いた。

困った事に、部活をサボった罪悪感は少しずつ薄れていった。



それ程に名前ちゃんと過ごすこの時間が、俺には新しくて楽しくて、幸せなんやと思った。



***



「治くん、ほんまにありがとうね」


銀行と印刷屋、最後にホームセンターを回った後には、両手一杯の荷物をぶら下げとった。



「気にすんなて。しかし、女の子1人でこれ全部持とうとしてたんはきっついなぁ」

「皆には練習に集中してもらいたいから」



改めてええ子やな、って思った。

ほんまはもっと、いつだって当たり前に隣を歩きたい。

/ 190ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp