第15章 あたりまえ【北信介】
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「……なに名前。自分、まさかの……?」
同じクラスの宮侑に、それとなく信ちゃんの好きなタイプを聴いてみたらコレや。
「だっ!う……うっさいわ!侑のアホ!!」
「何で俺が怒られてんねん!!」
私が信ちゃんに惚れてると判るや否や、ニヤけた面でジロジロ見てくるもんやから、思わず怒鳴ってもうた。
「お前ら幼馴染みなんやろ?そんなん今までいくらでも……」
「ありえへん!!」
笑い飛ばされそうなんもあるけど。
お兄ちゃんみたいな存在やから、こそばゆいんや。
「……北さんの好きなタイプかぁ……俺が知りたいわぁ。素朴なタイプが好きそうに見えつつ、案外、巨乳ブロンド美女好きだったりなぁ!アハハ!」
「……」
一緒に過ごす時間が多いバレー部員なら何か知ってると思たけど、侑に聴いたのは間違いやったか……。
「え?おもろない?」
「……笑えへんわ……侑のアホ」
「ごめんて!ぷっ……名前はっ、貧乳、やもんなぁ……!ぶはっ!」
「笑い堪えながらトドメ刺すなぁ!!ドアホ!!」
侑に聴いたのは、ほんまに違てたみたい。
自分の胸元の寂しさが憎い。
侑に、信ちゃんへの気持ち知られた上にイジられて……この虚しさ、何処へ持ってったろか?
「名前ちゃんが、自分で北さんに聴いたらええんちゃう?」
近くに居た銀島くんが会話に入ってくる。
「なっ!銀島さん!?聴こえてましたか!?」
「お前ら声でかいねん」
自分で聴けへんから、恥を忍んで侑に聴いてたんに。
出来てたら、苦労しないわ。
「北さんかて、俺らから好みのタイプ尋ねられるより、名前ちゃんから尋ねられた方が嬉しいんちゃうかな?」
「おおっ!銀、ええ事言うたな!」
ほんまにそうなんかな?
信ちゃんは、私にそんな話されて嬉しいん?