第2章 彼女の勘違い【澤村大地】
「……大学……受かったよ!」
「おおおっ!!おめでとう!!頑張ったな!!」
「ありがとう!……でね、第1志望に受かったから……その、澤村くんに……」
「?」
「……澤村くんに……私の気持ち、やっぱり伝えたいんだ……!彼女さんがいても、私……澤村くんの事が好きです!」
「ええっ!?」
「付き合えなくてもいい……ずっと、ずっと好きって伝えたかった」
「ちょ、ちょい待って」
「あの日も……澤村くんの事感じていたくって、だから、澤村くんの机で寝ちゃって……」
「苗字、ちょ……」
「ご、ごめん!キモい事言ったね!今の無しに……」
「待てって!!」
俺は苗字の肩を掴んだ。
顔を赤くした彼女がはっとした表情をこちらに向ける。
「俺は誰とも付き合ってないし、誰かにそう言ったことも無い」
「……へ?」
「逆に、なんでそういう話になってるんだよ」
「だ、だって。噂になってるよ?バレー部の清水さんと……」
「は!?清水!?」
「かなり……前から……」
「……はぁー」
「……違うの?」
「俺と清水は何も無いから!マジで、ただの噂!」
「ええっ!」
「ま。俺はその噂自体、知らなかったけどな」
そうなんだ、と呟き、苗字は安堵した。