第2章 彼女の勘違い【澤村大地】
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それから3ヶ月程が経過し、バレー部は春高出場が決定していた。
俺は苗字との事があって以来、気付けば彼女が気になり目で追うようになっていた。
クラス内ではやたらと苗字がいるグループの話に割り込み、図書館で勉強する苗字を見かけた時は、偶然を装って近くの席に座ったりした。
これってもしかして、恋か。
俺は苗字の事が、好きなんだろうか。
スガや旭に相談しようとも思った。
しかし、苗字の事を他の男から「女の子」という目で見られるのがなんとなく嫌で相談はしなかった。
ある日の、部活が始まる直前。
苗字から、話があると呼び出された。
「ごめんね、部活前に。すぐ終わるから」
「いいよ。どうした?」
「あのね……私……」
「うん?」