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【ハイキュー!!】短編集~Mint tea~

第13章 ジーザス!【黒尾鉄朗】




***


「……クロ、見てたの……?」
「廊下から見ちまった。偶然、忘れモン取りに戻った時」

「……」
「……悪い。驚いたよな?」

「……『なんてこった』って感じ」



みっともない所をクロに見られていた事を知って、惨めになった。


きっとこれから「付き合おう」って言われて、またキスされて流されて……。

でも、私はしばらく恋人は作れそうもない。
付き合った所で、幸せにしてあげる自信がない。



「『なんてこった』はまだこれからだヨ?名前チャン」

「……?」


随分と高い位置にあるクロの目を見上げると、彼は目を細めながら鼻を私のにくっつけた。


「この話……まだ続きがあるんだぜ?」


トクン、トクン……と、心臓が少しずつ速くなっていく。



「名前がココから出てった後さ。俺、アイツに言ってやったんだよね」



ーーー



『お前……ナニしてんだよ』
『なっ、黒尾!見てたのかよ!?』

『……名前がテメーの事、どんだけ大切にしてたのか知ってんのか……?』

『あ?女なんて、サせてくれりゃあ何でも良いだろ。お前だってそうじゃねーの?』



『……名前は……、ピッチャーのテメーが肩や肘やんねぇように、球種ごとに投球数記録して毎日きちんと管理してた。
負担のかからないフォームとか練習法とか図書館でいっつも調べてた。俺にも食事とかフィジカル面とかよく相談してくる』


『だ、だから何だよ。マネとして当然の事だ!つーかお前には関係ねーだろ!!』


『……オイ』
『あ?』



『……テメーがそれ以上、名前を語るんじゃねーよ。クソヤロー』



ーーー



「……って、俺が凄んでチョーット胸ぐら掴んだらすぐ逃げ出しちゃったんだよネ。

バレー以外にもこのタッパ、活かせるよな」


鼻先をくっ付けたまま、クロは優しく微笑んだ。

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