第12章 男の子、女の子【菅原孝支】
私が決意を固めたその時、教室の引き戸から、少し疲れた様子の菅原が入って来た。
「はぁ……」
「お、スガ。何処行ってたんだ?」
菅原は戻ったその足で澤村を強制連行し、2人は何かを話し始めた。
「で、名前。いつも何時に家出るの?」
「7時半頃、かな……」
ミオと会話をしながらも、私たちから距離を取って話す彼らが気になってしまう。
「じゃあ6時に行くから!……って、名前聞いてるー!?」
「……あ、うん。ごめん。6時、ね……」
澤村と少しの間だけ話した菅原は、また1人で教室を出て行った。
「苗字、落ち着いて聞けよ」
澤村がツカツカとこっちに向かって来る。
少し嫌な予感がした。
「な、なに……?」
「スガな。さっき、2年の子に告られたらしい」
***
翌朝は、早朝5時半に起きた。
昨晩はあまり眠れなかった。
澤村によると、菅原は告白の相手に「ノー」を告げたらしい。
ひとまず安心はしたけど、いよいよ今後は油断出来ない。
私には、ライバルが沢山居るんだという事を突きつけられた。
だから、私は変わらなければ……
恋愛を捨てている干物では無く、洗練された女子力を放つキラキラなJKに生まれ変わるのだ。
ミオにイチから教えてもらう。
自分でも調べて勉強する。
かっこ良くて優しい彼に見合う女に、私はならなければいけない。
「なーんで今日に限ってクマできてんのよ。孝支は告白断ったんだから気にしないのー」
「か、隠せますか……!?」
「まっかせなさいっ!!」