第6章 【魔人の笛】第三章――魔人が出た――
ルークがシャワーから戻てくると、疲れが出たのだろう。
ベッドに潜るなりすぐに寝息を立て始めた。
年相応の寝顔に大人3人組はにこりと笑いあう。
そして3人もまた、シャワーを浴びて深い眠りへと落ちていった。
ふと、は夢の世界から覚醒した。
時計を見ると眠ってからまだ3時間しか経過していなことに気が付く。
窓の外はうっすらと明るくなっており、朝が訪れようとしていた。
このまま二度寝をしようかと思ったが、目が完全に冷めたうえ脳内も覚醒している。
この状態で再び眠ったら起きれないことはわかりきっていた。
静かに背伸びをすれば何度か骨の鳴る音が耳に届く。
やはりソファで寝た代償だろう。
首も腰も肩も全体的に悲鳴を上げているが、こんなことはレイトンと調査をしていればいつも通りの事でもあった。
まだ寝ているレイトンたちを起こさないように慎重にソファから下り、窓を少しだけ開けて、煙草に火をつける。
外を眺めると、昨日の襲撃の跡がくっきりと残っている。
やはり夢ではなかったようだ。
肺に送り込んだ煙をゆっくりと吐き出す。
「おはよう、」
ぼうっと外を眺めてる彼女の背中に声がかかりびくりと肩が揺れる。
レイトンはシルクハットを被りながら驚きのあまり目を見開く彼女に笑いながら謝った。
まさかそんなに驚くとは思わなかったようだ。
「早いね、眠れなかったのかい」
「まさか。結構ぐっすりでした。そういうレイトンさんは」
「私も久々にぐっすり眠れたよ」
「紅茶、淹れますね」
「ああ。ありがとう」
灰皿に煙草を押し付け、窓をそっと閉める。
簡易ソファベッドを解体し元の位置へ戻し、軽く埃を払うとティーポットに紅茶を淹れた。
静かな時間が流れる。
こうして二人で紅茶を飲んでいると、研究室で講義のない休み時間を過ごしているような気分だとは思った。
「早く事件解決しないとですね」
「そうだね」
「このナゾが解決したら、溜めてる学会への提出物を消費して補講と生徒たちのレポート採点……。休む暇もないですね」
「……学会へはもう少し待ってもらうよう連絡をしなくてはね」
さも当たり前化のように言い放ち紅茶を飲むレイトンには大きく息を吐いた。