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追憶【レイトン教授】

第6章 【魔人の笛】第三章――魔人が出た――






本日何本目かの煙草に火をつける。
吸いすぎじゃないのかとレミは思うも、それよりもルークの言葉が気になった。
伝説の続きとは何か。

「"魔人の力悪用されしとき、魔人は人々に裁きの審判を下す。そして、魔人は全てを滅ぼし、自らの楽園を築くだろう"って……」

成程、とは呟く。
何度もルークは「この世界は終わる」と言っていた理由がようやくわかった。

「手がかりは魔人の笛のみってことか」
魔人の笛は以前、闇市でオークションにかけられたってウワサです」

まさか伝説の笛が闇市のオークションにかけられていたとは予想していなかったとレミは驚きを隠せない。
煙草の煙が器官に入ったのか、大きくむせるの背中をレミがさする。
しかし今のところ唯一の手掛かりでもある。
明日は闇市を探すということで、話はまとまった。

・魔人の笛
魔人を操る笛の音は町中のどの場所にいても聞こえる。
近くに誰もいないのになぜなのか。

メモ帳にナゾを記しテーブルの上に置いた。
そして部屋全体を見渡す。
スウィートルームとはいえ、ベッドは二つしかない。
男性同士女性同士で寝ればいいと思うが、しっくりこないのはなぜだろうか。
ルークがシャワーを浴びている最中に、はSサイズのソファを二つ向い合せるようにくっつけた。

「何してるんですか?」
「簡易ベッド作ってる」
「え?」
「流石に狭すぎるし、煙草臭い人間が隣だと嫌だろう」
「別にそれは気にしてませんでしたけど……」
「、そこには私が寝るから、君はベッドで寝なさい」
「ダメです。レイトンさんは最近研究室のソファでしか寝てないんだからたまにはベッドでちゃんと休んでください」
「しかし女性には……」
「女性扱いしないでって約束したじゃないですか」
「……そうだね。すまない。お言葉に甘えさせていただくよ」

シルクハットの鍔を下げ表情を隠す。
その顔は少し寂しそうに笑っていたのをレミは見逃さなかった。
二人の間には確かに何かが存在する。
だけどそれは赤の他人であるレミには気安く質問できない。
今はまだ。
心臓がきゅっと締め付けられた気がした。
それが寂しいという感情だと知るには、レミはまだわからずにいた。




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