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追憶【レイトン教授】

第6章 【魔人の笛】第三章――魔人が出た――






時計の針の音と川のせせらぎだけはこの静寂を包み込んでいる。
ふぅ、と煙草の煙を吐き出し灰皿へ押しつけ火を消すは横目で窓の外を眺める少年を見つめる。

「本当に今夜、魔人が現れるのかい?」

ソファからゆっくち立ち上がるレイトンは少年に近づく。
「たぶん」と自信なさげに言うルーク。
何時現れるかわからないが、現れなかった場合のことを考えると胃の辺りがキリキリと痛む。

「巨大な"魔人"が現れて町を破壊するなんて、そんなおとぎ話みたいなこと本当にあるんでしょうか」
「さぁ、どうだろうね」
「そして、それを予言する不思議な子」

レミの視線に気づきルークはちらりとレミを見るもすぐにそらす。
その様子に何か引っかかりを覚えるも、なんでそこに引っかかったのかわからずに、は再び煙草に火をつけた。
煙を吸い込み、外へと吹きかけたその時。

静寂の中、何かの音色が聞こえた。

「この音……」
「笛の音!?」

どこから聞こえるのか、耳を澄ましてもどこだかわからない。
笛の音色が聞こえたと同時くらいに、地響きがホテルの床を伝ってレイトンの足に伝わってきた。
そして何かを破壊する大きな音もまたレイトンの耳に入り込む。
4人は窓の外へと視線を向け、大きく目を見開いた。
彼らの目に映るのは、大きな黒い影が町を破壊し歩きまわっている姿。
深く濃い霧のせいで正体はわからないものの、黒い影と赤く光る二つの目は確かにそこにあった。

レイトンと魔人の目が。合った。ような。気がした。

その瞬間。
魔人は長く大きいな腕をレイトンに向かって振り下ろしたのだ。
窓が壊れ、電気も消え、暗い中。

「やっぱり…やっぱり世界は終わるんだよ!」

ルークの叫びが耳に飛び込んでくる。
しりもちをついてガタガタと震える少年。
魔人はそれ以上ホテルを破壊することなくまた歩き始めた。
誰よりも早く部屋の外へと飛び出し魔人を追いかけたのはだった。
彼女の後を追うように走り出すレイトンだったが、ルークにそれを止められてしまった。



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