第6章 【魔人の笛】第三章――魔人が出た――
そのあとしばらく、エリーノースを散策する。
日は傾き、綺麗な夕焼けが空を赤く染め上げ、そして暗くなっていく。
「そろそろホテルに戻りましょう」
「ああ。レストランで食事をしてから戻ろう」
ぐううと、腹の虫がどこからか聞こえその方へ耳を傾けると恥ずかしそうにお腹を押さえるルークの姿が。
走り回ったためお腹が空いたのだろう。
レストランでディナーを楽しみ、ホテルへと戻る。
外は先ほどよりも闇が広がり、霧のようなものが町を包み込んでいた。
今のところ前も見えないほど濃くはないが、住人の話を思い出せば、この霧は魔人の出る前兆。
レイトンたちは霧が濃くなる前に急いでホテルへと戻った。
中へ入ろうとするレイトンだったが、後ろを振り返るとルークが足を止めてうつむいている。
その手足はわずかながらに震えているのをレイトンたちは見逃さなかった。
「魔人はこの町を滅ぼそうとしているんです。このホテルだってきっと襲われちゃいます」
「またそんな不吉なことばかり言って。それも予言なの?」
「……」
「家に帰りたくなったのか?」
「そんな事ありません。だって家に戻ると父さんが……」
の問いかけに強く返すも、最後の言葉尻は弱く消えた。
また下を俯き、眉を八の字にし唇を噛みしめる少年の心情はひどく怯えている。
そんな少年にレイトンは、諭すように優しく声をかける。
「ルーク、君は私たちと一緒に魔人の出現を見届けに来たんだろう?」
「そ、そうです。ボクは予言者として魔人を見届ける必要があるんです!」
「心配はいらないよ。何があっても私が君を守る。約束するよ」
その言葉に嘘偽りはない。
なぜならレイトンは一度交わした約束を絶対に破ったりはしない。
それをわかっているだからこそ、にんまりと笑った。
ホテルの部屋へ戻り、魔人が現れるまで待機をすることに。
レイトンは紅茶を飲み、レミとルークは窓を開け外の様子を観察する。
は少し離れた場所で煙草を吸っていた。
かれこれ魔人の出現を待ってから数時間が経過していた。
時計の針はもう既に日付を超えていた。