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追憶【レイトン教授】

第5章 【魔人の笛】第二章――世界の終わりを予言する少年――






「"あること"がわかったら声をかければいいんだね」
「はい。でも、あなたが"何をしても"ボクに会うことはできないと思いますよ」

その言葉にレイトンはシルクハットの鍔を下に傾け、表情を隠した。
レイトンの癖の一つである。
何かひらめいたり、動揺を隠す場合に彼はこのように表情を隠す。
それを見逃さなかったは、「やっぱりレイトンさんはすごいな」と尊敬のまなざしで彼を見つめた。
彼女は観察力はあるものの洞察力はまだ未熟だ。
洞察力に関してはレイトンの方が何枚も上手である。

「ルーク、準備ができたよ」
「では、扉の前で"あること"をしてください」

帽子の鍔を元の位置に戻し、ルークに声をかける。
ルークの言葉を合図に15秒間、彼らは"あること"をした。

そして15秒が経った。

「"あること"の意味、わかったようですね」
「"何をしても会うことはできない"。ということは、逆にいえば"何もしなければ会うことができる"。とうことだね」

つまり、レイトンたちは15秒扉の前で"何もしなかった"のだ。
静かにただ15秒そこに立っていた。
行動しないことが扉を開く鍵となったわけだ。
部屋の中にいても相手がもしなにか行動していれば、それが間違いだとわかる。
実によく考えられたナゾである。
絵画もクマのぬいぐるみもその他のものも全てルークが彼らを惑わすための細工だったにすぎない。
いろいろ考えてたとレミはまんまとそれに引っかかったというわけだ。

「さて、これで少しは信用してくれたかな。扉を開けてくれるかい?」
「わかりました。約束通どおり、扉を開けます」

カチャリ。

鍵の開く音がした。
ドアノブを回し、ゆっくりと扉を開ける。

部屋の窓。
カーテンの隙間からから外を眺めている少年がゆっくりと振り向いた。

「キミがルークかい?」

少年の目はとても鋭く、部屋に入れたからと言ってまだレイトンたちを信用しているとは言い難かった。
しかしレイトンはお構いなしに懐から手紙をだす。
それは今朝届いたあの手紙だ。

「キミだね?この手紙を書いたのは」

少年の瞳が大きく揺らいだ。
それはYESを意味していた。




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