第5章 【海軍本部にて】
彼女はドフラミンゴとは別行動で本部内を散策していた。すれ違う海兵達は私に気付くなり、敬礼をしてくれた。顔馴染みの兵達と会った時は昔話をした。そしてそこに青雉さんが通り掛かり、彼ともまた積もる話でもした。
「ちゃん、ドフラミンゴに嫌な事とかされてない?大丈夫?」
『嫌な事というか……気分が乗らない時でも構わずにしてくるので、そこは嫌ですね』
「あららら……それは大変だな」
『でも、彼の傍に居ると落ち着くので』
思っていることをそのまま伝えると、青雉さんは驚いた顔をした。そして「…そっか。それなら良いんだけど」と言って私の頭を撫でた。『こうしてもらうのは嬉しいんですが、ドフラミンゴさんにでも見られたら首が飛びますよ……』と苦笑しながら返す。
「おー、それは怖いね」
『でもクザンさんなら大丈夫だと思います』
「…ちゃんって俺の事認めてるよね」
『大将ですから』
「えー、それだけ?」
暫く談笑をしていると、殺気を含んだオーラを感じ取った。それはクザンさんも同じな様で「…そろそろヤバいから俺はここで」と言って早々にこの場から立ち去った。私はその背中を見届けて、後ろの曲がり角に潜んでいるであろう彼に声を掛ける。
『居たんですかドフラミンゴさん…』
「フッフッフ…!俺の居ねェ所で男と話すたァいい度胸じゃねェか」
『嫉妬ですか?男の人の嫉妬は醜いんですよ』
「…言っとけ」
『あ、ちょっと…!』