第9章 エンドロール
「お姉さま!」
本田さんととりかえばや後、いつものように女装(w)を施しバッシュさんの家に行った。
すると、庭で花壇に水遣りをしていたリヒちゃんに二度見をされた後、すごい勢いで抱きつかれた。
「お姉さま…」
ぎゅっと力強く抱きしめられ、まもなく、かすかな嗚咽が聞こえた。
「ごめんね…ごめんね…」
こんなに思ってくれていたなんて…
私も堪えきれなくなって、二人でしばらくの間抱き合ったまま泣いた。
どれぐらい時間が経っただろう。
二人でひとしきり泣いたあと、リヒちゃんに手を引かれバッシュさんの家に入った。
「リヒ、水遣りずいぶん時間がかかった…な…」
部屋に入るなり、銃を修理していたバッシュさんがリヒちゃんに言う。しかし、その途中、私を見、表情が固まった。
私もなにを話せば良いのか分からず、ただゆっくりと頭を下げた。
バッシュさんは、たぶん私に呼びかけたかったんだと思う。
でも、彼は私の名を知らない。
少し悲しそうな目をして見つめていた。
「バッシュさん、お久しぶりです。…長い間こちらに伺えずにすみません」
私はそう言って頭を下げ、
「私の名前は、村崎です。
名乗るのが遅くなってしまって、ごめんなさい」
バッシュさんが答える前に、間髪いれずに名乗った。