第2章 とりかえばや生活になれましょう。
「ダークマターには紅茶ですよね、やっぱ」
「だからダークマターじゃねェェェ!!!」
突っ込むアーサーさんを無視して立ち上がった。
「あ、俺ビールでいいよ」
台所に向かう私に、アルフレッド様がご所望した。
もうあんたは様つけて呼ぶよ。
3時間経過。
二人はすっかり酔い潰れてしまった。あっさり眠ってしまったアルフレッド様はいいとして、アーサーさんは酒癖が悪い。泣き上戸だ。最悪だ。アルフレッド、頼むから起きてくれ。
さらに、肩をがっちり組まれて、とてもじゃないが逃げられない。
私は必死に目からビームを出してアルフレッドさんを起こそうとしたけど、人間にはやはり無理だった。
「あいつのー小さいっころはそりゃぁ可愛いもんだったんだっよ〜ぅううう」
「ええ、ええ」
何度めかになるセリフに相槌を打つ。
アルフレッドさんを凝視していると、不意にアーサーさんの声色が変わった。
「…そういえば、本田。今日なんか少し雰囲気違うよなーお前」
ぎくーん!
私は恐る恐るすぐ横にあるアーサーさんの顔を見た。
そういえば、私浴衣に着替えた時に、胸に入れておいた鉄板とっちゃったんだった。
思いだして、肩を組まれた腕がずっしりと重さを増した気がした。
そして何やら重苦しい沈黙が流れる。
自分の心臓の音だけがうるさい。
もう…手の位置から、微妙にばれてるんじゃないこれ。
「本田ァ…お前…」
「な、なんですか!」
私は目をそらせないままいると、アーサーさんがふっと笑った。
「下まつ毛、枝毛あるぜ」
「氏ねぇぇーーーーーーー!!!!!」