第7章 虎穴のワルツ編
「おお、早くその姿を見せてくれ!主人は私だ!!!」
男の言葉に反応するかのように黒い渦が一際うねったかと思うと、中から何かが近づいてくるのがわかった。
「なにか、くる!」
フランシスさんの言葉通り、中から何か出てきた。
渦の中心から現れたのは、黒い羽を背中に生やした、全身毛むくじゃらの生き物。口からはみ出さんばかりの牙。獰猛そうな爪。牡鹿のような立派な角が生えている。
そいつは、私たちを見るなり一鳴きしたかと思うと、こちらに向かって迷うことなく一直線に飛んできた。
「えい」
フランシスさんが剣を持っていないほうの手で軽く打ち落とした。
きゅう、と一鳴きして地面に落ちてジタバタしている。
「かわいい」
「なんだこれ?これが悪魔?」
つんつんと獰猛そうな悪魔をつっつくギルベルトさん。
とっても恐ろしい姿の…手のひら大の悪魔でした。
きゅうきゅう鳴きながら悪魔は、主人であるローブの男のもとへ走って向かった。